「別無工夫」

  夢窓疎石の言葉。「別に工夫無し」

夢窓疎石は、生涯にわたり、夢窓国師・正覚国師・心宗国師・普済国師・玄猷国師・仏統国師・大円国師と、七度にわたり国師号を歴代天皇から賜与され、七朝帝師と呼ばれた高僧。国師号など、わざわざ辞退するまでもない浮世の戯事とでも思っておられたのでしょう。

 さてこの言葉、「工夫」とは砕いて言えば「求道の営み」とでも言ったらいいのか、とにかく人間形成をめざして何かをすることです。侮れないのが「別」の一字。これを「他に」の意に取るか「ことさらに」の意に取るかで、意味がガラッと違ってきます。

 今はまだ何にもわかりませんが、これからの参禅弁道を通じて、少しでも禅師の境涯に近づいて行きたいものです。

 旧暦11月朔日は、無窓疎石の生誕の日。